1 有限要素法による3次元磁界解析のための自動分割プログラム 磁気ヘッドから発生する磁界を解析するために有限要素法を用いるが、3次元物体のデータを自動的に作成するためのソフトウエアを開発した。ここでは、Delaunay法とOctree法を併用したプログラムにより自動データ作成を実現した。従来、物体の輪郭が失われることがあったが、この点を理論的に明らかにし、新しいアルゴリズムを開発することにより、この問題点を解決した。これにより有限要素法による3次元磁界解析を容易に行なえるようになった。 2 薄膜磁性体のマイクロ磁化過程シミュレーション 外部磁界の有る場合、無い場合に対してランダウ・リフシッツ・ギルバ-ト方程式を解き、軟磁性薄膜、薄膜磁性媒体の磁区構造を動的に求め、可視化する手法を開発した(口頭発表:高野、金井、「薄膜磁性体のマイクロ磁化分布シミュレーション」、第5回電気学会東京支部新潟支所研究発表会、B-23、93-94(1995))。 3 今後の展望 静的な状態に理想化した条件で、磁気力顕微鏡(MFM)による磁化状態の観測を試みたが、探針を磁性体に近づけると磁化状態が変化するという問題点が明らかになった。この点を解決するために、磁気力顕微鏡により得た像から元の像を数値的に逆推定する、という新しい課題につながった。 また、前述の自動分割プログラムおよびマイクロ磁化過程シミュレーションは、アルゴリズム改良により更なる高速化、省メモリー化を図ることが重要である。
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