研究概要 |
まず動作原理を確認するために、真空チャンバー内にn型シリコンエミッタアレイを配置し、それと外部のフォトダイオードを直列に接続してエミッタからのエミッション電流の測定を行った。このとき、光はフォトダイオードに照射した。この実験で使用したn型エミッタは、1.5mm角内に6μm間隔で約6万個のエミッタをアレイ状に配置したものである。フォトダイオードに照射する光量を変化させながらエミッション電流の変化を測定したところ,光量の増加によりエミッション電流がほぼ直線的に増加することがわかった。またアノード電圧が500Vの時、実効的な量子効率が1以上となることが確認できた。これは、フォトダイオードとして使用したpn接合で光が吸収され、そこで生成した電子がそこに存在する強電界によりアバランシェ増倍(雪崩増倍)が生じたためだと考えれれる。これにより入射した光子1個が、5個程度の放出電子に変換されたことを意味している。これらの結果から量子効率1を越える電界放出微小エミッタ型超高感度光電面の製作の可能性が確認できた。中心波長680nmのLEDを用いて光応答測定を行った。その結果、電流の立ち上がり、立ち下がりともに約10ms程度であることがわかった。この応答の遅れは、空乏層容量と電子ビームの抵抗により定まる時定数によると考えれれた。
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