知的画像通信に適した動作表現の記述法と、動作の有意部分の抽出法を確立した。 知的画像伝送では、伝送画像を「意味情報」に変換して伝送することにより、極めて大きな圧縮率を実現する手法であるが、従来、意味情報に変換しえない情報をどのように処理するかが問題であった。本研究では、その解決策として、伝送情報のレベルを階層化して扱うことにより、最適な伝送方式を実現するための動作表現の記述法を示すことができた。階層化したデータ伝送における意味情報レベルは最高の圧縮率の階層であるが、これを用いることができない場合は、それより低位の層によって記述を行なうものであり、意味情報への変換率に応じた圧縮率可変記述が可能となる。 また、動作の中で意味を示す中心である手の部分を中心として「意味情報の場」を定義することにより、時間的および空間的な表現の解釈法を示した。人間が有意なジェスチャー動作を行なう場合、その過程における手の移動とは、速度が異なることから「意味情報の場」に変換して各フレームとの和を取ると、その違いが顕著に表れる。したがって、この結果を処理することにより、比較的容易にジェスチャーにおける有意部分が検出できることを示した。また、この結果からベクトルを抽出することにより、指示表現の方向性、時間表現等を検出することが可能になる。 従来からの手話認識では、手話単語の認識が中心であり、単語間の関係を示す空間情報については十分な検討がなされていなかった。本研究では、意味情報において「場」の概念を用いることで、これらの解決策を示した。当初の目標であった、ジェスチャーの自動分類にまでは至らなかったが、ジェスチャーにおける(特に、高度な内容を表現しうる手話において言えることであるが)空間表現は、音声言語の助詞に相当するものであり、この解析法は、手話(ジェスチャー)の意味解釈を行なううえでも、極めて重要なものである。
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