室内の電磁界分布を、部屋の構造および送受信アンテナの特性等を考慮して安定化した(1)。現在は、この定式化に従い、アンテナの指向性が変化した場合の送受信アンテナ間の伝送特性を計算するプログラムを作成中である。 また、PHSを例に取り、屋内にて基地局及び携帯機のアンテナ指向性を変化させた時の平均受信電力を測定し、その差異を明らかにした。(2)。 (1)部屋全体を損失性壁面を有する直方体の空胴とみなし、正弦振動する点電磁流源に対する電磁界を表現するグリーン関数を2種類の方法で導出した。 ・壁面により生じる反射波を影像の寄与とし、これらを加算して電磁界を求める幾何光学近似手法を用いたグリーン関数を、時間遅れで表現された従来の型式とは異なる、正弦振動に対する表現として導出した。 部屋を空洞共振器と仮定すると、内部電磁界を共振器の固有モードの和として表すことができるので、固有モード展開によりグリーン関数を求めた。これは幾何光学近似と異なり厳密界となるので、近似解析法の妥当性を評価するための規範問題として利用できる。 (2)実際の屋内環境(廊下)でPHSを想定し、1.5GHzにおける平均受信電力の測定を行った。その結果、基地局に関しては低利得で指向性がブロードなものが、携帯機に関しては筐体からの放射により指向性が下方を向いているものが、それぞれ平均受信電力が大きいことがわかった。
|