半導体レーザを用いて発生させた位相共役光に対する直接変調特性の明確化と、位相共役干渉計のビジビリティ改善について研究を行い、以下の成果を得た。 1)半導体レーザ位相共役光の可干渉性低下の原因を調べるため、NDフィルターを用い、位相共役光の半導体レーザへの戻り光強度制御を行った。この結果、戻り光強度と干渉計のビジビリティの関係が明らかとなった。次に、アイソレーション比60dBの光アイソレータを用いて干渉計を構成したところ、ビジビリティが改善され、良好な干渉信号を観測できることを確認した。 2)半導体レーザを数Hzから数百kHzに亘って正弦波状に変調し、位相共役光の強度に対する影響を調べた。この結果、変調波形を正弦波とし、変調振幅を小さく抑えれば、位相共役光の強度変化は生じず、良好な干渉信号が得られることが確認できた。 以上の実験結果を踏まえ、光アイソレータを用いた干渉計を構成し、位相共役光の強度が変化しない条件のもとで、正弦波位相変調干渉信号の検出を行った。また、CCDイメージセンサを用いた位相検出回路により、この干渉信号を処理し、波面の位相分布を高精度にかつ高速に測定できることが示された。 半導体レーザ直接変調により、位相共役干渉計における位相変調が高速に行える見通しを得ることができた。今後、位相共役光を用いた応用計測に関する研究を進める上で、大きな前進があったと考えられる。
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