人間の腕のインピーダンスの調節は、対になっている伸筋と屈筋の張力レベルを制御することによって状況に適した動特性を実現している。(例えば、他人との衝突の可能性がある場合には、外力に応じて腕を柔軟に曲げるなど。)この2つの張力に対応する情報をマスタ側で生成し、スレーブのインピーダンスを調節すれば、人間の腕と同様な機能を持つ遠隔操作型マスタ・スレーブシステムを構成することが出来、人に優しいシステムを構築することが出来る。また、ここで開発される技術は、非常に微小な世界に対して顕微鏡を用いて操作をするようなシステムにも応用可能である。さらに、本研究では、安全性のためインピーダンス調節信号はオペレータが操作しようとしている自由度の残りのもの(例えば、腕を動かす場合は、手の動作など)から取り出すことを想定している。 本年度の研究では、2自由度を有するマスタ・スレーブマニピュレータから構成されるた遠隔操作型バイラテラルインピーダンス制御マスタ・スレ-ヴシステムのシミュレータを計算機上で作成し、制御系の有効性をチェックする様々なシミュレーションを行なった。さらに、この結果に基づいて、1自由度を有する遠隔操作型バイラテラルシンピーダンス制御マスタ・スレ-ヴ実験システムを実際に構築し、制御系の有効性を示す基本的な実験データを得た。これらの結果を報告書にまとめ、学会に発表した。
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