光音響顕微鏡による接着剤の熱拡散率の高速測定法を開発するために、材料を産業界で需要が高いエポキシ樹脂系接着剤に絞り、1.測定系の改良、2.信号の高速測定法の検討、3.計測プログラムの開発を行った。 得られた結果を以下に示す。 1.測定系の改良 (1)計測の高速化を図るためには任意な継続光波形が必要であるが、従来の機械式チョッパでは不可能であった。これをアナログ音響光学変調器に変更し、任意の断続光波形が得られるシステムに改良した。 2.信号の高速測定法の検討 (1)ディジタル信号処理を加えることによって、信号を従来より高速に測定できる新しい方法を提案した。 (2)ハードウェアのシステム構成をできるだけ簡単にするために、変調光波形は比較的単純な波形(矩形波、のこぎり波、三角波)を使うことにした。これらの波形の中でどの波形が提案した方法に最適化を実験的に検討した結果、のこぎり波を使った場合、得られる信号には基本周波数の偶数高調波成分が含まれることに加えて、高次高調波成分の減衰が少ないことを明らかにできた。 3.計測プログラムの開発 (1)接着剤の熱拡散率の推定を誰でも行うことができるように、計測から熱拡散率推定までを自動で行うプログラムを開発した。
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