ライフラインの信頼設計に関する研究を2つの柱に分けて行った。1つは過去の被害データの収集と分析であり、あと一つは地盤震動に関する研究である。過去の被害データの収集と分析では、被害が公表されているガス、水道について都市化が十分進展したと考えられる宮城県沖地震(1978年)以降の被害データを収集した。特に90年代に入ってから釧路沖地震、北海道南西沖地震、北海道東方沖地震、三陸はるか沖地震については関連自治体にアンケート調査を行い、被害データを収集した。95年1月の兵庫県南部地震については被害の全容はまだ公表されていないが、今後追加検討していく予定である。 被害データと地震動データを対比して判明したことは、加速度で200ガル、速度で30カイン程度のしきい値を超えると埋設管被害が発生しはじめ、それ以下では被害はほとんど起こっていない点である。阪神大震災以降いろいろな機関から強震観測計画が発表されているが、被害発生の目安は重要なポイントである。また過去の被害データから平均的な被害数の割り出しも可能であり、兵庫県南部地震のデータ公表をまって予測モデルを確立していく予定である。 また埋設管の耐震設計には応答変位法が一般的に用いられており、効果を発揮しているが多くの仮定を含んでおり、とりわけ入力地盤変位の問題は大きいと考えられる。そこで地震被害の集中しやすいといわれる地形の地盤震動シミュレーションを行い、地盤の運動速度や変位、地盤ひずみがどのように分布するかを検討した。その結果、地震被害が集中する傾向があるとされる軟弱層厚が変化する地形では、水平方向に平坦な場合に比べて速度、変位、ひずみとも大きくなることが確認された。この傾向の定式化は今後の検討課題であるが、ライフラインの信頼化にむけて取り組んでいきたいと考えている。
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