1.波と流れが同時に発生できる装置を作製し、これを用いて実験を行った。 (1)流動特性を表わす一つの指標であるスランプ試験からのその降状値を求めた。これは巻き上げ量を評価する際の底泥の物性評価項として有効なパラメータと思われる。ただし今回の実験ではスランプ試験より求めた降状値と実際の降伏値との比較検証を行っていないため、その検討が課題として残った。 (2)実験開始とともに底泥が急激に巻き上げられ、その後、底泥面直上に高濃度の流動層が形成され、この流動層の上側界面から上層水中へ懸濁物質が連行される。底泥の巻き上げにより圧密された面の暴露、周期的な変動に伴う底泥表面の硬化および高濃度層の形成に伴う作用力の低下などから、時間の経過とともに底泥面からの巻き上げは減少する。 (3)底泥内部に設置した間隙水圧計の変動過剰間隙水圧より底泥内部、特に表層部において、有効応力が減少する、いわゆる地盤の液状化や高密度化と同じ現象がみられた。ただし、底泥内部の変動過剰間隙水圧は静水時を中心に周期的に変動する場合と時間の経過とともに残留、上昇していく場合とが見られた。 (4)波に起因しない一様流のもとでの波の波長(波数)を求め、これを用いて底面に作用する剪断応力を算出した。算出された底面剪断応力と巻き上げ限界底面剪断応力を用いて無次元有効底面剪断応力を求め、これと巻き上げ速度との関係が指数関数形として表わされた。 2.現地感潮河川にて浮泥の流動調査を行った。今回の測定では浮泥界面高の経時変化を2周波(107kHzと400kHz)の音響測定器にて検出した。流束が減少する転流時に底面付近に浮泥が形成される様子が観測され、そのオーダーは数cmから数十cmであった。 3.懸濁物質の生成、分解に関する生物過程については未だ実験結果等が出せなかったことから、これら微細粒子群による水環境への影響については明確にはできなかった。
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