RC造スラブ付き立体骨組中の隅柱近傍において、スラブを介して直交方向から作用する応力の影響を評価するために、隅柱-梁-スラブ接合部試験体の一方向および二方向加力実験を行ない、梁の終局曲げ耐力を実験的に調べ、立体トラス理論に基づく、曲げ・せん断およびねじりモーメントを受ける梁の終局曲げ耐力の理論値との比較、検討を行なった。 実験パラメータは次のようである。試験体総数は4体である。 i)スラブ筋量:多(スラブ筋の配筋間隔;70mm)、普通(同;80mm)、少(同;90mm) ii)水平力の作用方向:0度(構面方向)、135度 但し、0度方向載荷については、スラブ筋量が普通の場合のみ行なった。 研究実績の概要 1)二方向加力の場合の方が、一方向加力に比べ、早期加力サイクル(節点回転角;0.02〜0.03rad)において実験最大値に達した(一方向加力では0.06rad)。 2)スラブ筋量の等しい試験体で比較すると、二方向加力の場合の曲げ耐力の実験値は、一方向の場合に比べ、7.3%以上減少した。 3)二方向加力の場合において、スラブ筋量の異なる3試験体の曲げ耐力の実験値を比較すると、スラブ筋量が普通、多、少の順に、耐力が小さくなった。これは、スラブ筋量が増加することによる梁の曲げ耐力の増加分よりも、直交方向からスラブ筋を介して作用するねじりモーメントの増加に起因する曲げ耐力の減少分の方が大きくなったためであると考えられる。 4)立体トラス理論による解析値(スラブ側曲げ引張の場合)は、実験値を32〜63%過小評価する結果となった。これは、スラブ側曲げ圧縮となる直交方向の梁断面における圧縮力の大部分を梁幹部で負担しており、スラブ断面内で負担する圧縮力が、解析で評価した値(解析では平面保持の仮定を用いている)に比べ小さかったことにより生じたものと考えられる。 注)研究実績における「実験値」は、全て節点回転角が0.04radにおける値である。
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