本研究では、京都大学IDMP観測所で天空輝度分布の観測を開始した1992年6月から1995年12月までの期間について、145分ごとに観測した天空15点の輝度の各点における変動と天候状態との関係を調べた。天候状態の指標として、日照率と雲量を検討した。雲量については、天空における雲の状態が中間天空の天空輝度分布の変動に影響すると思われることから着目した。雲量については気象台のデータをもちい、日照率についてはIDMP観測所での観測値と気象台のデータの両方をもちいた。まず京都地方気象台で観測された雲量(1986〜95年)と日照率(1991〜95年)の統計的要約をおこなった。(1)雲量0は1990年以降観測されておらず、雲量1〜7がそれぞれ約5%、8、9がそれぞれ10%で雲量10が約50%をしめる。(2)雲量は既往文献での1966〜1975年の鹿児島のデータに比較して平均で1.5〜2.0多い。(3)日照率0%と100%がそれぞれ約30%、10〜90%はそれぞれ約5%をしめる。(4)雲量1の約8割が日照率100%であるが、雲量10でも14%が、雲量8、9ではともに約40%が日照率100%である。(5)雲量10の約60%、雲量9の約10%が日照率0%である、ことがいえた。このことから雲量と日照率によって天空状態を分類し、中間天空を抽出することができると考えた。IDMP観測所での日照率については、直達日射量から求めたものについて、気象台の値との相関はr^2が0.56であった。観測時刻前60分と前後60分ではr^2が0.83なので、気象台と同じ前60分の値をもちいてさしつかえないとした。天空輝度の変動については、9時から5時までの太陽高度7段階別の輝度の時間的平均値および変動係数と雲量および日照率との関係を中間天空について調べ、高度による輝度のばらつきを天候状態とつきあわせた。
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