ラーベス相Cr_2Nbの拡散挙動を究明するため、Cr-Nb系において相互拡散実験を行った。バルク拡散対には純Crと純Nbを用いた。拡散アニールは1278〜1577Kの温度範囲において行った。アニール後、光学顕微鏡とSEM(二次電子像)により拡散領域を観察した。また濃度分布はX線マイクロアナライザーを用いて分析した。 ラーベス相Cr_2NbはCr-Nb系において唯一の金属間化合物である。相互拡散の過程において、Cr_2NbはCr相とNb相の中間層として形成された。Cr_2Nb相の相成長時間依存性は、放物線的時間則(x^2=2kt)より、平滑界面として成長した。このことは相成長が拡散律則によることを示している。次に相成長定数kを求めた。(e.g.T=1577Kではk _<Cr2Nb>=5.1×10^<-16>m^2s^<-1>) また、濃度プロファイルから、Boltzmann-Matano法を用いてCr_2Nbの相互拡散係数を求めた。さらにCr_2Nbの単相領域だけでなく、Nb中のCr、Cr中のNbの固溶度についても求めた。今回実験を行った温度範囲においては、相成長はまだかなり遅い。これはCr_2Nbの融点(Tm_m=2043K)が高いことによるものと考えられる。高温範囲における相互拡散実験(1800K以上)は現在進行中である。
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