研究計画に基づき、二光子吸収を光化学反応の相関、ならびに新規光機能性材料創製の可否について検討し、以下の知見を得た。 (1)二光子吸収とこれに付随する非線形屈折効果を発現する材料として酸化チタンに注目し、その光学線形性を単光束法によって評価・解析した。この結果、酸化チタンが無機酸化物としては極めて大きな光学非線形性を有することを実験的に確認した。 (2)前項に引き続き、光機能性材料の探索の一環として酸化チタンと同じ結晶構造を有する酸化テルル、酸化スズについて評価・解析を行い、両材料もまた新規光機能性材料となり得ることを確認した。これらの結果を原著論文として発表した。 (3)前項のうち、酸化テルルがガラス形成酸化物として広い成分・組成でガラス化することに着目し、酸化鉛、酸化ホウ素とともにガラスを作製し、その二光子吸収特性について詳細に評価・解析を行った。この結果、本ガラスが極めて大きな二光子吸収を示すこと、二光子吸収は鉛含有量に比例することを見いだした。 以上の結果は、二光子吸収が誘起する光化学反応を利用した光機能性材料の創製に関して、極めて有用な基礎的知見となりえるものである。
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