研究概要 |
B2型金属間化合物は数百種類の合金系において確認されている.この中で,「入手可能な元素で構成されていること」および「クリープ試験片作製が可能であること」という2条件を満たすものは約20種類に限定される.本研究においては,(1)広いB2単相領域をもつFeAl,CoAlおよびNiAlという3種類のアルミナイドに着目し,そのクリープ挙動の組成依存性を検討した.(2)この結果をFeTi,CoTiおよびNiTiという3種類のチタナイドの場合と比較した.そして,(3)クリープ強度を周期律表の観点から考察した.以上3つの目的に対して得られた結果を以下に示す. 結果(1):NiAlのクリープ変形機構は,化学量論組成近傍において純金属型であり組成がずれると合金型に遷移する.CoAlおよびFeAlにおいてもこの特徴は同様に成立するが,純金属型のクリープ変形機構を示す組成領域がNiAlに比べ広くなる.いずれのアルミナイドにおいてもクリープ強度は化学量論組成において最大となり,組成のずれに伴い強度は低下する.結果(2):チタナイドにおいても,クリープ変形機構は化学量論組成近傍において純金属型であり組成がずれると合金型に遷移する.また,クリープ強度は化学量論組成において最大となる.ただし,FeTiはB2単相領域が狭いため,これらの特徴は明確に認められない.結果(3):アルミナイドおよびチタナイドのクリープ強度を比較すると,アルミナイドにおいては[FeAl]<[NiAl]≦[CoAl]となるのに対し,チタナイドにおいては[FeTi]>[CoTi]>[NiTi]とまったく逆の順序となる.B2型金属間化合物のクリープ強度を推定するためには,原子間結合力に着目することが有用であると考えられる.
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