本研究では応力印荷によりセラミックス強誘電体において強誘電→常誘電相転移を生じさせ、そのため生成した大きな電位差を利用して微小な応力・歪が検出できるセンサーの開発を目的とする。最終的には微粒子の衝突など動的な解析が求められる。以下に研究成果を要約する。 1.キュリー点を制御したセラミックスとしてストロンチウムを添加したチタン酸バリウムを取り上げ、錯体を原料とした新しいゾルゲル法により、平滑なセラミックス薄膜の合成に成功した。 2.キュリー温度、微構造の評価を行ない、その結果、バリウムとストロンチウムが均質に置換していることがわかった。 3.高電圧で分極処理を施した試料に微小ビッカース硬さ計で、種々の荷重で圧子を押し込み、その際電極間に流れた電流をエレクトロメーターならびにデジタルストレージスコープで測定した。 4.生成した電位差、応力(又は歪み)、キュリー温度、分極域の大きさなど各パラ-メーター間の関係を議論した。その結果、圧子負荷および除荷時の圧電ならびに亀裂進展に対応する電気応答が得られた。この結果、微小応力センサーとして十分に利用できることがわかった。
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