研究概要 |
SiO_2ガラスはさまざまな用途に使用されており、現在光ファイバーの主要材料としても利用されている重要な材料である。光ファイバーの重要な要素には光の透過性、透過波長領域および屈折率があげられるがこれらを制御するためにはSiO_2以外の成分を加える必要がある。従来はこの目的でNa_2O,K_2Oなどのアルカリ金属酸化物を使用することが多かったが本研究ではSiとよく似た化学的特性を有するGeの酸化物であるGeO_2をゾルゲル法によりSiO_2に固溶させた2成分系ガラスの合成をおこなった。この固溶2成分系ガラスは母ガラスの不規則網目構造をほぼ保持したまま機能を制御できる可能性を有していると考えられる。今回の研究により、すべての組成領域で固溶ガラスがゾルゲル法により合成可能であることがわかった。また、合成したガラスのX線回折実験、X線吸収実験、赤外吸収実験、密度測定を行い構造決定ならびに物理・科学的特性のキャラクタリゼーションを行った。構造決定は申請者がこれまでに開発していたX線回折図形を再現するリバースモンテカルロ計算プログラムに今回新たに改良を加えX線吸収端微細構造スペクトル(EXAFS)をも再現できるプログラムを開発しこれにより行った。この改良により得られる最適化構造の信頼性が高まったと考えられる。さらに、赤外吸収実験よりGeO_2を多くするほど吸収領域が遠赤外方向へシフトすることがわかり従来SiO_2単体では難しかった赤外線ファイバーへの応用が期待されることがわかった。また、組成勾配を与えることで屈折率分布レンズ作成が可能であることがわかった。 なおこれらの結果は第26回中部化学関係学協会支部連合秋季大会講演予稿集p.87および次貢掲載論文に報告した。
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