研究概要 |
本研究の目的は電解反応に特有の反応場である電極-溶液海面に外部エネルギーを照射することにより、従来の電解反応にはない新たな反応系を創成することである。そのような新たな系を探索すべく種々の有機化合物の電解反応における光照射の効果について検討した。 今回、基質として易還元性のvic-ジハライドを対象とし、光照射下で電解還元を行った場合と光照射せず暗所下で電解還元を行った場合の還元生成物(2電子還元体:オレフィン、4電子還元体:アルカン)の収率と電流効率について比較検討した。その結果、例えば1、2-ジブロモ-1,2-ジフェニルエタンの電解還元を光照射しながら行うと4電子還元体であるビベンジル生成の収率と電流効率が光照射しない場合に比べて向上することを見い出した。また、本反応系では中間に生成する2電子還元体(スチルベン)のシス/トランス比が無電解光照射のみの場合にはほぼ1:1となるのに対し、暗所下での電解ではトランス体のみが生成した。これに対し、光照射下での電解ではシス体のみが生成するという非常に興味深い結果が得られた。これは電解系に光照射を行うことにより、新たな生成物選択性制御が可能となることを示唆している。このような反応制御法はこれまで全く知られておらず、さらなる詳しい検討が必要であるが、ここで観測された現象はPhotoassisted Electrochemical Reactionとも言うべき新たな反応系へ展開できるものとして期待できる
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