鎖末端に重合性の官能基を有するテレケリックポリマーは、ブロック、グラフト共重合体などのビルディングブロックとして有用である。本研究では、鎖末端に加水分解や開環重合能を有するオキシラン環をもち、充分に制御された分子量と狭い分子量分布を有するテレケリックポリマーをポリマーを得ることを目的として、分子内にオキシラン環を有する4種類の臭化アルキルとアニオンリビングポリスチレンとの反応を行った。 停止剤である2-ブルモエチルオキシラン、3-ブロモプロピルオキシラン、4-(3-ブロモプロピル)フェニルオキシランはそれぞれ対応する臭化アルケンから過安息香酸を用いたエポキシ化反応により調製した。反応はすべてTHF中、-78℃で行い、リビングポリマーの溶液を少しづつ停止剤に加える方法と、過剰の停止剤をリビングポリマーに一度に加える方法の二種類を併用した。末端官能基の導入率はGPC、NMR、TLC-FID測定により決定した。 対カオチンとしてリチウムをもつアニオンリビングポリマーと上記4種類の停止剤を反応させたところ、末端官能基の導入率は92〜100%となった。しかしながら、一部の系ではGPC溶出曲線の高分子量側に設計分子量の二倍程度の分子量に対応するピークが現れ、分子量分布が二峰性になった。TLC-FID測定の結果から、高分子量側のピークは1分子の停止剤に2分子のリビングポリマーが反応した2級アルコール化合物であると推定された。一方、対カチオンとしてカリウムを有するリビングポリマーとの反応では、反応条件によらず生成ポリマーの分子量分布は単峰性となり官能基の導入率は定量的であった。 得られた鎖末端にオキシラン環を有するポリマーのマクロマ-としての可能性を調べるため末端基に対して過剰のアニオンリビングポリスチレンを反応させるとGPC曲線は出発ポリマーの位置から高分子量側ヘシフトし、末端官能基の導入率が充分高いこと、開環反応によりブロック共重合体やグラフト共重合体が得られる可能性が示された。
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