1.電磁性流体の測定を行うための基礎となるエレクトロレオロジー(ER)効果を詳細に検討する目的で、種々の分子構造を持つ高分子ER流体の合成とレオロジー測定を行った。まず、芳香環を有するイソシアナ-トとポリエーテルとの付加により、分子内にハード及びソフトセグメントを持つポリエーテルウレタンを合成した。両末端ハードセグメントのイソシアナ-ト基を修飾した種々試料を調製し、末端基がER効果に及ぼす影響を検討した。電場下でのレオロジー測定を行った結果、シアノエタノールで修飾したものは電場下で粘度が増大すること、乳酸エチルやエタノールなどで修飾したものは電場下で粘度が減少するという「正と負のER効果」が見られた。 2.鉄粒子をシリコーンオイルに分散した流体を用い、電場と磁場を平行または直交に印加しながら定常せん断に対する応力応答を測定した。電場と磁場を同時に印加したときの応力が、それぞれの外場を単独で印加したときの足し合わせよりも大きくなる「相乗効果」のメカニズムを考察するため、電場及び磁場を印加した状態で凝固剤により試料を固化させ、顕微鏡で粒子の凝集状態を観察した。電場と磁場を平行に印加した場合は外場の方向に沿った鎖状構造、直交印加の場合にはネットワーク状の構造が形成されることが分かった。 3.高分子溶液系および分散系のレオロジー特性に関して詳細な測定と解析を行うために、電場下での法線応力測定の装置と方法を検討した。高分子液晶系や高分子微粒子分散系を用いて基礎的データを得た。分散系については、シミュレーションによって電場応答を考察した。 以上に示したように、新規試料の調製、電場・磁場下での粒子構造の解明、測定法の改良など、EMR効果の定量化とレオロジー制御の基礎として有用な結果が得られた。
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