1.研究目的:開発機械に関して各要素ごとに検討されてる知能化のための要素技術を1つのシステムに統合し、これを基に地下環境下で掘削・運搬作業を自律的に行う知能機械システムについて検討することを目的としている。 2.研究計画:(1)実験の基礎となる模型を試作する。駆動用モータとしてDCサーボモータを用い、視覚用にCCDカメラを設置する。(2)破砕堆積物の探索実験を行い、作業対象物の有無の判断を行うエキスパートシステムを構築する。(3)カメラを用いて作業対象物の形状を把握し、作業計画をたてるアルゴリズムについて検討する。(4)レーザスポットを用いて作業対象物までの距離を計測する。(5)実際に掘削作業を行う。 3.研究成果:(1)破砕堆積物を含む多くの画像をサンプリングし、画像中に含まれるエッジの密度等を基に、破砕堆積物の存在の有無を判断するエキスパートシステムを構築した。このエキスパートシステムを用いて別の画像について判断の成功率を求めた結果、模型から破砕堆積物までの距離に制限があるものの、ほぼ100%判断できることが確かめられた。(2)距離計測に関しては、カメラの光軸とレーザスポットの光軸を平行にさせたビジョンシステムを模型上に設置し、スポット点をカメラにより検出することにより距離を瞬時に計測するシステムを構築した。(3)模型が破砕堆積物の直前まで移動してから作業計画をたてる際には、新たに堆積物の形状を把握し、その形状を基に最適な計画をたてる必要がある。画像から特徴点を抽出する際には、エッジ検出を用いたが、対象物の形状が複雑なため、不必要な数多くのエッジが検出されたり、また完全に閉じたエッジを得ることはまず不可能である。そこれ、これについてはしきい値を導入したアルゴリズムを考え、破砕堆積物の概略を得る方法を検討した。この画像を基に最適な掘削作業を行うモードと通常の繰り返しによるモードとを比較検討した結果、画像により毎回の作業ごとに最適な計画をたてることにより効率の良い作業が可能であることが確かめられた。(4)積み込み作業を自動的に行うためには、バケットに作用する力の解析が必要不可欠であることから、抵抗力について理論的に検討し、抵抗力を定式化した。
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