韓国産栽培型ライムギ(Secale cereale)のB染色体上のアイソザイム遺伝子を検出するために、韓国産ライムギのB染色体のみをパンコムギ(Triticum aestivum)に添加した系統を用い、アコニターゼ(ACO)、酸性ホスフォターゼ(ACP)、グルコース-6ーリン酸脱水素酵素(G6PDH)、リンゴ酸脱水素酵素(MDH)、6-ホスホグルコムターゼ(PGM)、パーオキシターゼ(POD)、シキミ酸脱水素酵素(ShDH)、ホスホグルコン酸脱水素酵素(6PGD)の8種類の酵素についてアイソザイム分析を行った。播種後7日から14日後のパンコムギとB染色体添加パンコムギの実生をそれぞれ抽出緩衝液中でホモジネートし、その上澄をスラブ型ポリアクリルアミドゲルで電気泳動後、活性染色を行い、ザイモグラムを比較した。その結果、ACP、G6PDH、MDH、PGM、および6PGDでは、それぞれパンコムギとB染色体添加パンコムギのバンドパターンに違いは認められなかった。このことはライムギのB染色体上に、これらのアイソザイム遺伝子が座乗していないことを示す。また、ACOとShDHでは出現したアイザイムバンドはきわめて薄く、PODではテーリングにより、バンドの数と移動度が不明瞭な部分があり、B染色体の有無によるバンドパターンの違いを確認することはできなかった。これは、試料の抽出時の条件や染色液の組成などが原因であると考えられる。今後この点を検討し、これらの酵素に関して再び研究を続けていく。
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