研究概要 |
ニホングリ‘丹沢'、‘銀寄'、‘筑波'及びチュウゴクグリとニホングリの雑種‘利平'について接木苗より萌芽した新梢より,えき芽を採取し、殺菌後、無機成分(基本培地)や植物調整物質(サイトカイニン類)について種々の濃度や組み合わせを設定した培地に植え付け、生存率等を調査した。実験に供誌した基本培地7種(MS、MS(1/2N)、WPM、DKW、SH、BTM及びBW)の中では、BW培地での生長が最も優れ、継代中の枯死も他の培地に比べて少なかった。またサイトカイニン類4種(ゼアチン、BA、4PU-30及びチジアズロン)の中では、ゼアチン添加の培地での生長が最も優れた。植え付け時のタンニン溶出に伴う自己中毒回避のために、2日おきに植えかえるという操作を行なったが、外植体の生存率に影響を及ぼさなかった。また外植体を植え付けた際のコンタミネーションの発生を回避するために、1年生枝や丸太を実験室内で水差しして萌芽した新梢のえき芽を外植体として用いると、コンタミネーションの発生は減少したものの、植え付け後の生長が悪く、継代2〜3回目で枯死するものが多かった。 他品種と比較して生長の優れていた‘丹沢'のシュートを用いて、シュート伸長に及ぼす基本培地やサイトカイニン類の影響を調査したが、最適培地は植え付け時の培地と同じで、BW基本培地にゼアチンを1〜10μM添加した培地でシュートの生長が優れていた。しかしながらその最適培地においてでさえも、シュートの増殖率は低かった。一方、培養中に突然枯死刷る個体も多く、増殖率の低さと相まって、発根実験に供試できる程のシュート数を得ることができず、発根処理に関する実験は行えなかった。今後は、シュートが突然死する原因を解明すると同時に、効率的な増殖方法を検討して行きたい。
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