研究概要 |
植物材料として,はじめに組織培養苗の貯蔵中の徒長が問題となっているスターチス・シヌア-タを用い,苗の貯蔵気管が紫外光照射により延長できないかどうかを検討した.すでに種々の植物実生の胚軸伸長抑制に効果があることが認められている健康線用蛍光灯(ピーク波長310nm)を紫外光源として用いた. 1.紫外光の照射が培養容器内の苗の生育に及ぼす影響 分割移植後しばらく器内で培養した苗を放射強度や照射時間を変えた紫外光の照射下に置き,紫外光が苗の生育に及ぼす影響についてみた.20℃,3波長域型蛍光灯による16時間日長条件下で紫外光の照射を行った.強い紫外光の照射により苗の生育は抑制された.また,長期間の連続紫外光照射により苗の枯死がみられた. 2.異なる齢の苗に対する紫外光補光の効果 分割移植直後の苗と,植え出し適期にまで生育した苗,およびその中間段階の苗について紫外光の照射下に置き,苗の状態について経時的に調査した.分割移植直後の苗は,強く紫外光照射により生育が抑制された. 3.植え出し後の苗の生育 紫外光の補光下においた苗を培養器外へ移植し,順化の難易や植え出し後の苗の生育状況について調査した.紫外光を照射の有無は順化の難易や植え出し後の苗の生育に影響を及ぼさなかった. 4.種々の植物の培養における紫外光照射の効果 ガ-ベラ、カ-ネーション、シュッコンカスミソウなど,他の培養器内における徒長が問題となる植物について培養中の紫外光照射の影響を調査した.程度の差はあるが,スターチスと同様の傾向がみられた.
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