ブトウ果粒の生長曲線を含核数毎に調査した結果、無核果実では果実生長停滞期である第2期は有核果実に比べて短くなったが、種子数が1から3個の果粒では果粒の大きさは異なるものの、生長期間に差異は認められなかった。ブドウ果実から抽出した中性画分にアブシジン酸の前駆体であるザントキシンが存在することが明らかとなった。しかしながら、その含量は成熟開始期以降のアブシジン酸含量に比較してかなり低かった。種子と果肉における含量を比較すると、種子においてその含量が高く果実生長の停滞期である第1期終期において最も高かった。一方、果肉では種子においてみられたピークは無く、成熟期のアブシジン酸の増加とともに増加した。含核数別にアブシジン酸とザントキシンを果肉と種子で分析した結果、アブシジン酸含量は有核果実より無核果実において高く、有核果実では果肉種子ともに含核数による差異は認められなかった。また、ザントキシン含量もアブシジン酸同様果肉においては有核果実より無核果実において高く、無核果実では有核果実の果肉では認められなかったピークが第1期終期において認められた。このことから、ザントキシンは第1期の生長を抑制する作用を持ち、有核果実では種子がその供給源となり、無核果実では果肉自体でその制御を行っていると考えられた。しかしながら。果実生長第1期のザントキシンの外生処理は果実生長を抑制せず、成熟にも影響しなかった。処理濃度が50ppmと低かったことがこの要因であると考えられ、処理濃度について再検討する必要があると考えられた。
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