[有毒成分の単離精製]大量資料の抽出精製を行ない、イオン交換カラムクロマトグラフィー、逆相分配カラムクロマトグラフィーを用いて、ギムノジミンと命名した有毒成分の単離に成功した。最終的に15mgのギムノジミンを蓄積した。また、毒化原因渦鞭毛藻Gymnodinium sp.の培養に成功し、試料の安定供給を可能とした。 [有毒成分の構造決定]単離した試料を各種機器分析に供し、構造解析を行った。その結果、分子量507、分子式C32H45O4Nから成り、分子内に16員炭素環、ブテノリド、5個の二重結合、水酸基、エーテル環、環状イミン等の官能基が存在することを明らかとした。これまでの渦鞭毛藻由来の生理活性物質と比較して、分子内酵素原子が少なく、環状イミンと大員炭素環の存在が特徴であった。各種NMRスペクトルの解析からこれまでにない新奇構造を決定した。 [検出定量法]LC-MSを用いた検出法を検討し、渦鞭毛藻試料だけではなく、有毒貝試料においても前処理方法の検討により適用可能であることを明らかとした。 [生理活性試験]ギムノジミンは腹腔内投与法でマウスに対して450μg/kgの毒性を示した。また、小型淡水魚赤ヒレに対して0.05ppmという強力な魚毒性を持つことを明らかとした。
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