脳虚血疾患治療薬の開発を目的として、ラット初代海馬神経細胞および神経系ハイブリドーマN18-RE-105細胞における、グルタミン酸毒性抑制物質のスクリーニングを行った。その結果、aestivophoenin A、B、lavanduquinocinおよび4-demethoxymichigazoneの4種類の新規化合物を見出した。これらの化合物の構造決定は主にNMRを用いて行い、aestivophoenin A、Bはphenazine骨格とベンゾイル基をクロモフォアとし、lavanduquinocinはオルトキノンを含むcarbazole骨格からなる化合物であることが判明した。また、4-demethoxymichigazoneはphenoxazone骨格からなる化合物であった。 Aestivophoenin A、B、lavanduquinocinおよび4-demethoxymichigazoneは、N18-RE-105細胞におけるグルタミン酸毒性をそれぞれ15.0nM、6.2nM、15.5nMおよび57.1nMのEC_<50>値で抑制した。このうち、aestivophoenin Bが強い活性を示したのでin vivoの活性試験を行った。その結果、主成分であるaestivophoenin Bは50mg/kgの濃度で、KCN誘導低酸素モデルにおいてマウスをKCN毒性より保護した。また、カイニン酸を脳内投与することによりマウスに痙攣を誘導できるが、このモデルにおいてもaestivophoenin Bは完全ではないが、痙攣を改善した。
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