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1995 年度 実績報告書

超高感度定量系を用いた中枢性疲労発生機序の神経化学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 07760136
研究機関京都大学

研究代表者

井上 和生  京都大学, 農学部, 助手 (80213148)

キーワードfatigue / behavior / central nervous system / exercise / hydra / rat / mouse
研究概要

【目的】現代人にとって生活の質を向上させる上で疲労感をコントロールすることは非常に重要なことである。そこで本研究においては運動後に発生する疲労感を一つのモデルとして、中枢での疲労感発生機構に関与する脳内物質のスクリーニングを行った。
【方法】1)ラット脳脊髄液(CSF)採取:ラットを流水プール中で2時間遊泳させ充分疲労させた。所定の遊泳時間終了後直ちにラットを麻酔し、大槽よりCSFを採取した。コントロールとして同じ時間全く運動していないラットからもCSFを採取した。2)マウス自発行動量測定:ラットから採取したCSFをマウスの脳内に投与して自発行動量を測定した。自発行動量は、赤外線を発する物体を感知するセンサーを放射状に設置した行動量測定装置によって行った。CSFはマウスの大槽内に投与した。3)ヒドラのバイオアッセイ:淡水性腔腸動物であるヒドラは、餌となるプランクトンの細胞に含まれるグルタチオンを検知して一連の摂食行動を引き起こす。この行動はヒドラを培養している培地にグルタチオンを加えることでも引き起こすことが出来る。その時その環境中でペプチド性の生理活性物質が存在すると摂食行動が抑制される。この現象を利用して非常に高感度に生理活性物質の存在を検出・定量するバイオアッセイ系を構築できる。培地中のグルタチオン濃度を変化させると、共存する生理活性物質毎に特有の抑制強度が観察でき、そのパターンから生理活性物質の同定が可能である。このようにヒドラのバイオアッセイ系はペプチド性生理活性物質のスクリーニングに非常に有用な手段となる。
運動の有無によってラットのCSFに含まれる生理活性物質が異なるかどうかヒドラのバイオアッセイ係で検討した。
【結果】1)マウスの自発行動量:マウスの脳内にCSFを投与すると、脳内に液体を投与すること自体ストレスとなって、疲労ラット、およびコントロールラットから採取したどちらのCSFも何も投与しないマウスに比べ行動量を減少させた。しかしCSFを投与した群間では、疲労したラットから採取したCSFを投与されたマウスの行動量の方がコントロールラットのそれを投与されたマウスの行動量より有意に低かった。この事から、疲労したラットの脳内にはマウスの自発的行動を抑制する物質が放出されていることがわかった。2)ヒドラの摂食行動抑制パターン:全く運動していないラットのCSFではヒドラの摂食行動を抑制する物質が存在した。しかし疲労させたラットのCSFではヒドラの摂食行動抑制活性が消失し、全く異なる応答パターンを示した。この事から、疲労したラットの脳内では、ヒドラの摂食行動を抑制する物質が減少しているか、その抑制活性をマスクする別の物質が放出されている可能性が考えられた。運動していないラットのCSFと、疲労したラットのそれとを等量混合したサンプルでヒドラのレスポンスを見たとき、ヒドラの摂食行動抑制活性の消失が1/2以上であったため、活性をマウスする物質が放出されている可能性の方が高いと考えられた。

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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