主に鹿児島県の市町村を対象として、「農業経営基盤強化法」、「特定農山村法」にもとづいた「県基本方針」、および「市町村基本構想」の策定状況について、ヒアリング調査とその具体的な内容について、資料収集を行いつつ、2、3の市町村については「基本構想」における策定方法とそのプロセス、今後の農業振興方針などについての基本的な考え方等のヒアリングも行った。その結果、各市町村の「構想」内容には類似したものが多いものの、農業生産所得の高い市町村などを典型に、独自のユニークな構想を策定しているところもあり、それは農協をはじめ役場・農業関係諸団体の取り組み方にいかんによってかなりバリエーションをもって展開していることがわかった。現在、このような先進事例がどれくらいの普遍性をもつのか、全国の先進的な事例分析と対比しながら、とくに95年農業センサス結果をまって、特定市町村における農業構造のあり方に対して、自治体農政、農協「農業振興策」はどれくらい関与し影響力をもっているのか、明らかにする予定である。国政レベル・自治体・農協レベルにおける農業振興策における各位相が具体的になるものと考える。また、十分に深めることのできなかった戦後50年間の日本農政における農民の主体性、主体的対応-その受容と適応の構図について、文献研究等を通じながら、平成7年度に本研究が行った『新政策』下における自治体農政、農協「農業振興策」のあり方についての実証研究をふまえ、総合的に考察することにしている。
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