最大耕作面積は、ピーク作業期間(田植期間か刈取期間)にどれだけの作業を行うことができるかで決まる。本研究では、まず、主として30a区画の水田耕作を行っている愛知県安城市の和泉営農組合と高棚営農組合について、営農日誌のデータを基に田植期間の農作業の構造を求めた。これの分析と聞き取り調査により、田植期間を制約する条件として明治用水土地改良区の通水開始時期と転作の麦刈時期があることがわかった。また、田植期間中に行うことが必要な作業とそれほど必要でない作業との仕分けを行った。結局、いずれの営農組合でも田植可能期間は40日間、作業効率は0.5ha/人日となり、最大耕作可能面積は20ha/人程度であることがわかった。 続いて、刈取期間についても作業構造を求め、分析を行った。これにより、刈取作業は、降雨によって作業できない日があることを考慮しても、30ha/人程度まで行うことが可能であり、本地区の現状では最大耕作面積を規定していないことがわかった。ただし、和泉営農組合では一部でヘリコプターによる湛水直播を開始しており、これが全面的に展開した場合は、刈取作業が最大耕作面積を規定するようになる可能性はある。 和泉営農組合については、耕作地の状態(区画規模、分散性)が作付品種によって異なっていた。これを利用して、主要機械作業の効率を求めたところ、代かき・田植といった機械作業については、耕作地の分散性よりも区画の規模の方が作業効率に大きく影響していることがわかった。 同様の調査を秋田県大潟村で行った。大潟村の農家の場合、耕作地は分散しておらず、区画規模も1.2haと大きい。そのため、主要機械作業の効率がよく、田植期間中の作業効率は0.7ha/人日と高いことがわかった。
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