酪農地帯では環境問題や肥料問題さらに労力不足のため、ふん尿処理・利用の確立が急務となっており、その対策として肥培潅漑が実施されてきている。肥培潅漑は資源の有効利用、地力の維持増進、経営の合理化、環境保全などの面で効果が期待されている。しかし、ふん尿を未処理で利用した場合、搬送・施用、肥料価値、環境保全の面で問題や障害が生じている。その対策として希釈や曝気などの牛ふん尿スラリーの調整・加工は必要不可欠なものであり、スラリーの調整・加工における希釈や曝気の意味を性状変化の面から明らかにすることは重要な課題である。 そこで、スラリーの性状に及ぼす温度、濃度、曝気強度などの影響について処理条件を変えた室内実験により調べ、さらに現地調査の結果を踏まえスラリーの調整・加工における希釈と曝気の機能について整理を行った。 得られた成果は、以下の通りである。 (1)処理条件別の性状の経時変化は、各項目とも曝気開始から3〜6日目にかけて減少が著しく、その後わずかに減少するのが特徴であった。 (2)スラリーの性状変化は、高温条件でかつ濃度の比較的高いものほど変化が著しいことが明らかとなった。 (3)希釈は、水分の増加、粘性と窒素濃度の低下などの面で機能し、次に曝気は、粗繊維質の細分化と易分解性有機物の分解、さらに窒素と臭気強度の減少などの面で機能していることが明らかとなった。
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