1.処理方法の基本設計 従来の色彩による目標の抽出では画像データの全ての画素について設定したしきい値との比較を行わなければならず、膨大な処理量となっていた。この手続きを簡素化し、画像データから対象となる色彩を持つ画素を大まかに決定し、それらの画素を集合体(ラベル)として高速に認識、抽出するアルゴリズムを開発した。そして本研究の主目的である、得られたラベルの円形度、画素数によるノイズ除去のための画像処理技法の適用について検討した。さらにこの画像処理を支援する知識ベースの構築について検討し、最適なルールの記述法を決定、そのAI推論機構のアルゴリズムの構築を行った。 2.知識システムを用いた位置計測システムの開発 開発したアルゴリズムを元に、パーソナルコンピュータ上で知識ベースを構築し、推論エンジンをC言語により作成した。ここで作成した知識ベースは、画像中の計測対象である移動体に該当するラベルのみを認識することを支援するものである。そのための判断の基準となる画像認識結果から得られる各ラベルの状態量それぞれの重み付けなどについて検討し、AI推論のためのルールを記述し知識ベース化した。 3.移動体認識・追従実験 作成された移動体認識システムを使用して、実験室内で移動体認識、追従実験を行った。実験では知識ベースの判断の基準となるデータベースについて、認識結果を元にした改版などは特に行わなかったが、色彩が等しく形状、大きさが異なるものはもちろん、色彩が等しく形状、大きさ共に近い誤認識を誘発するような状況を設定しても移動体上の標識を見失うこと無く、追従を行うことができた。
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