今年度の研究計画に沿った研究の結果、以下の結果を得た。 1.血小板活性化因子(PAF)合成酵素の活性化機構の解析 マウスマクロファージ系細胞株、RAW264.7を用いて、血小板活性化因子合成酵素(アセチル-CoA:リゾ血小板活性化因子アセチル転移酵素)の活性調整機構を検討した。この細胞株では、PAFそのもの、および、LPS(エンドトキシン)で、この酵素が活性化されたが、PAFによる活性化は、投与後1-2分をピークとして、5分後には、基底状態まで戻るのに対して、LPSによる活性化は15分程度をピークとし、その後も持続するようなパターンを示した。また、カルシウムイオノフォア(A23187)もほぼPAFと同様の時間経過で、この酵素活性を活性化すること、および細胞内カルシウム濃度の増加を阻害する、BAPTAにより、PAFによる活性化が阻害されたことより、PAFは細胞内カルシウム濃度の上昇により、この酵素を活性化していると考えられた。現在この結果は投稿準備中である。 2.PAF合成酵素cDNAクローニング 今年度は、準備段階として、PAF合成酵素活性をもたないホスト細胞の検索を行った。その結果、一過性発現によく使用されるCOS細胞は、強いPAF合成酵素活性をもつことがわかり、スクリーニングには不適であることがわかった。逆にCHO細胞は、ほとんどこの酵素活性を持たず、使用可能なことが示されたので、CHO細胞を用いた一過性発現の最適化を行い、リポフェクション法により、高い発現を得られる条件を見いだした。今後、ライブラリーのスクリーニングを開始する予定である。
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