研究概要 |
本研究ではは血管系でのNOの産生とその合成酵素NOSの活性調節機構を明らかにするために次の二点についての検討を行った。 (一)血管内皮細胞型NOSIIIの活性調節機構の解析。 トランスファーベクターのpVL1392にヒトNOS IIIcDNAを挿入し、バキュロウイルスDNAと共に昆虫細胞のSf21に感染させ、リコンビナントウイルスを得た。この組み換えウイルスを大量増殖させ、これを昆虫細胞に感染させることによってヒトNOS IIIを大量産生させた。この細胞をTriton-X100で可溶化後、2′,5′-ADP SepharoseおよびDEAE-CelluloseカラムによってリコンビナントNOSIIIを精製したところ、活性にヘムが必須であることがわかった。 (二)血管平滑筋におけるNOS IIの発現調節機構の解析。 分離培養したラット大動脈の血管平滑筋細胞に、IL-1β存在下でプリンおよびアデノシン受容体に対するアゴニスト(ATP、ADP、アデノシンなど)を投与したところ、培養液中の亜硝酸(NOの酸化物)量が増加した。この増加はアデノシン受容体のアンタゴニストによって抑えられたので、アデノシン受容体の関与が示唆された。ノーザンブロット法によりNOの産生がNOS IIの発現に由来することを明らかにした。
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