研究概要 |
全身性カルニリン欠乏マウス(JVS:Juvenile Visceral Steatosisマウス)は報告者が中心になりその病態および病因解析が進められ、新たに確立された疾患モデルマウスである。 本年度は、JVSマウスを利用し、JVSマウス肥大心室の遺伝子発現の特徴を明らかにするとともに、カルニチン投与で応答のみられる遺伝子を同定することを試みた。 最近開発されたDifferential display法であるSokolov and Prockopの方法を一部改変して実験を行ない、その発現パターンを比較しJVSマウス,対照マウス、カルニチン治療JVSマウスでシグナル強度の異なる約500bpのバンドを検出した。既報に従いクローニング、シークエンスを行ない遺伝子配列を決定した。クローニングされたcDNAをプローブにし、Differential display法で分離、展開されたPCR productについてSouthern blot法を行ない、得られたcDNAがDifferential display上で変化を示したバンドに対応することを確認した。シークエンシングの結果、高いホモロジーを示す遺伝子はなく、未報告の遺伝子だった。通常のNorthern blotを施行したが、有意なシグナルを検出することはできなかった。現在、得られたシークエンスを基に、PCRプライマーを設定しquantitative RT-PCRを試み、mRNAの定量化を行なっている。この方法を用いることで、既知の遺伝子のみならず、JVSマウス心室で発現変化をしている未知の遺伝子を検出する可能性が示された。
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