1.滑膜肉腫におけるHGF(hepatocyte growth factor)ならびにHGFレセプターであるc-met proto-oncogene産物(c-Met)の局在を免疫組織化学的に検討した結果、二相性滑膜肉腫の上皮成分のみにHGF、c-Metがともに発現していることが明らかになった。また、単相線維型滑膜肉腫では上皮様胞巣部分のみにc-Metが陽性であった。しかし、HGFは陰性であった。さらに、RT-PCR法、Southern blot法により単相性滑膜肉腫(上皮様胞巣がないもの)では、mRNAレベルでもHGFが発現していない可能性があることが示唆された。したがって、二相性滑膜肉腫の上皮様成分の形態形成にオートクリン作用によるHGF-c-Met系の活性化が関与していることが示唆された。 2.類上皮肉腫では、HGF、c-Metともびまん性に腫瘍細胞に陽性であった。HGF-c-Met系がこの腫瘍の上皮化に関与している可能性があるものの、増殖に関与している可能性も否定できなかった。
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