研究概要 |
1.培養系の確立:脱血死させた正常マウスの肝臓をメッシュ上ですりつぶし、percollの不連続密度勾配法によって肝実質細胞を除去した。分離した細胞をendothelial mitogen(ECGF;Biochemical Technologies,Inc.)を添加した培養液で4-5日培養した。この細胞にリコンビナントマウスIFN-γあるいはリコンビナントマウスTFN-αおよびLPSを加え、NO産生を測定した。NOの測定にはGriess法を用いた。有意なNO産生の条件設定を検討中である。 2.猫条虫卵のin vitroでの孵化・活性化:猫条虫卵を次亜塩素酸ナトリウムで処理し、パンクレアチンおよびウサギの胆汁を添加した培養液内で激しく攪拌しながら培養した。活性化の指標に鈎の運動性、虫体による分泌産物の有無および中性赤水溶液による染色性を用いた。中性赤は、幼虫の外膜(オンコスフェア膜)を通過しないため外膜を脱した虫体のみを染める。活性化した幼虫はしばらくの間、鈎を動かしているがそのうちにその動きを停止した。したがって、長時間培養する場合、虫体の生死判定はトリパンブルーによる色素排除試験あるいはMTT法による呼吸の有無判定を行った。活性化させてから24時間後の虫体の生存率は2時間後のそれに比して激減しており、長期培養系は難しいことが明らかとなった。短時間培養でのNO産生と虫体の生死判定について検討中である。 3.in vitroの系は活性化虫体の確保のために多量の虫卵を要すること、虫体生死判定の困難さなどの問題を残している。抗マウスiNOSモノクローナル抗体を用いた免疫組織学的検索による肝臓内虫体周囲のiNOSの検出あるいはiNOS欠損マウスでの感染性の検討がより直接的かと思われる。
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