生体は、病原細菌の侵入に対し、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン(IL-1、IL-6)、インターフェロン-γ(IFN-γ)等のサイトカインを産性する。特にブドウ球菌や連鎖球菌から産性される細菌外毒素(スーパー抗原)や大腸菌の内毒素(リポポリサッカライド(LPS))は、過剰にサイトカインを誘導し、致死性ショックを引き起こす。また結核菌感染等による慢性肉芽腫性炎症においてもサイトカインが病態形成に重要であることが明らかになっている。このような細菌感染症から生体を防御するためには、サイトカイン産生を抑制することが必要である。 結果 1)本研究において、細菌外毒素またはLPSによる致死性ショックモデル及び結核菌、Rhodococcus aurantiacusの慢性肉芽腫症のモデルをマウスの系で樹立し、サイトカインアンタゴニストの治療の有用性について検討することが可能となった。 2)Rhodococcus aurantiacus感染により脳炎と脊髄炎による麻痺が生ずるが、脳炎の発症にはL-dopa反応が認められ、Nocardia asteroidesによる脳炎と類似したものであることが判明した。 また、感染マウスの脳・脊髄内には、CD4、CD8陽性細胞が浸潤しており、これらの抗体投与が脳炎の発症を抑制したことにより、T細胞を介した炎症反応が脳炎の誘発に関与することが示唆された。
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