本研究ではSalmonella Choleraesuisのビルレンスを培養細胞(HEp-2 細胞)への侵入性を指標に調べ、ビルレンスプラスミドの役割を明らかにすることを目的とした。ビルレンスプラスミド上には、ビルレンス発現に関与するspv (Salmonella plasmid virulence)領域が存在し、そこにコードされているSpvタンパク質の発現が、培地中の栄養源および菌の増殖期により異なることが報告されている。そこで、天然培地であるLB培地と完全合成培地であるM9培地を用い、静置培養または振盪培養における対数増殖期および定常期の菌を用いて、HEp-2細胞への侵入性を比較した。その結果、M9培地での各培養条件における侵入性には差がみられなかったが、LB培地での培養においては対数増殖期の菌を用いた場合では振盪培養した菌のほうが静置培養した菌に比べ侵入が高く、定常期の菌を用いた場合では静置培養した菌のほうが振盪した菌に比べ侵入性が高かった。これらのことから、培養条件により菌の細胞への侵入性が異なることが分かったので、今後、細胞内での菌の増殖性ならびにSpvタンパク質の発現について解析する予定である。
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