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1995 年度 実績報告書

レトロウイルスのゲノムRNA発現とスプライシング機構との関係

研究課題

研究課題/領域番号 07770217
研究機関東京大学

研究代表者

小田原 隆  東京大学, 医学部(医), 助手 (40204218)

キーワードレトロウイルス / RNAスプライシング / 転写後発現調節 / 分子生物学
研究概要

レトロウイルスは、複製のために、スプライスRNA (envメッセージ)と非スプライスRNA(gagとpolのメッセージであると共に、ウイルスゲノムともなる)との両方を発現しなければならない。この調節のメカニズムは分かっていない。マウス白血球ウイルスの野生型ゲノムから、スプライスアクセプター(SA)を含む441塩基を欠失すると、スプライシングがなくなると共に、非スプライスRNAの発現量も減少することを、昨年報告した。本年は、このSA部配列のRNA発現に与える効果が、転写後のどのステップで起きるのか明らかにした。野生型ウイルスは、再感染によりコピー数が増えて解析しづらいので、pol領域内にフレームシフト変異(4塩基挿入)又は306塩基インフレーム欠失を持つ、ほぼウイルス全長のDNA(前者をfswt,後者をΔwtと記す)を用いた。fswt, Δwt共に、SA部欠失によりmRNAの発現量が減少する。1. RNAの新規合成を止めて、mRNAの安定性を検討した。fswt, Δwt共に、SA部の有無で、mRNAの安定性には変化を認めなかった。「細胞質に出たmRNAについては、SA部の有無によって安定性に変化がない」と結論した。2.次に、核と細胞質を分離してRNAを抽出し、mRNAレベルを比較検討した。ΔwtではSA部の有無で核内レベルは不変,fswtではSA部がないと核内で既にRNA量減少が見られた。以上より「SA部を欠失したmRNAは、細胞質に出る以前に、核内で壊れてしまいやすい」と結論した。3.また、gagだけをコードするRNAの発現は、やはりSA部の欠失により低下するが、更にgag遺伝子の3'半分を欠失することで回復することが分かり、この部分がRNA発現をSA部依存にしている可能性がある。以上の結果は、レトロウイルスRNA発現の転写後調節に新しい知見だった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] Matano, Tetsuro: "Targeted infection of a retrovirus bearing a CD4-Env chimera into human cells expressing human immunodeficiency virus type 1." Journal of General Virology. 76. 3165-3169 (1995)

  • [文献書誌] Oshima, Masamichi: "Possible role of splice acceptor site in expression of unspliced gag-containing message of Moloney murine leukamia virus." Journal of Virology. 70 (in press). (1996)

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公開日: 1997-02-26   更新日: 2016-04-21  

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