対象画像の集積と分類 今回の研究対象として従来からじん肺の有所見者が多数見られる某窯業を選んだ。研究対象とする長期にわたるじん肺症例の基準として、じん肺の有所見となってから20年以上経過した例を対象とし、さらにその間の胸部X線撮影が定期的に行われ保存されていた症例を選んだ。その結果計23例のじん肺有所見者が基準を満たし、今回の研究の対象とした。 画像解析方法の研究 当初、他の研究者が行った処理方法の検討を行った。肺野の画像の抽出の際、心血管と骨という肺野に重なる陰影の影響を除去するための方法の点で従来の研究は明確な解決方法が見いだせず、影響を受けない部分を手作業で抽出し解析の対象としていた。しかし、この方法では肺野全体を評価したとはいえず、これがじん肺を初めとする肺野画像解析の行き詰まりともなっていた。 今回われわれは2次元フーリエ変換を利用して心血管陰影と骨の陰影の除去に成功した。さらに評価の際課題になっていた撮影条件の差や皮脂などによるバックグランドの濃度分布の不均一の問題も同時に解決することに成功した。 この処理した画像から2mm前後の顆粒陰影を選択的に抽出する技術もフーリエ変換を応用して確立した。これにより自動的に顆粒陰影を抽出することができるようになった。現在この手法により各症例の解析処理を行いデータの蓄積を行い、有所見の結果と画像解析の組み合わせを検討して画像処理によるじん肺の自動評価が行えるか検討している。 今後の予定 現在今年度開発した手法により各症例の解析処理を行っており、その結果をまとめ報告する予定である。次の段階では2mm前後だけでなく任意の大きさの画像の抽出ができるように進め、さらにその画像のゆがみなども評価の対象となるように解析方法を研究する予定である。
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