アルコール摂取量がアルコール依存形成の上で重要な因子と注目され、アルコール脱水素酵素(ADH)、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の多型との関係が論じられてきている。この研究では、Wistar系ラットを用いて、ALDH多型とエタノール代謝動態の関係を調べ、それらのエタノール摂取行動に及ぼす影響を検討した。エタノール代謝動態解析では、in vivoにおいて1g/kgを静脈投与した。投与後経時的に血中のエタノール濃度ならびに酢酸脳素を測定し、得られたエタノール濃度曲線ならびに酢酸濃度曲線を解析した結果、エタノール濃度曲線において差は認めないものの、酢酸濃度曲線については2型に分類された。さらに、肝ALDH多型分析を行ったところ、mitochondrial ALDHにおいて多型(2型)が認められ、先の酢酸濃度曲線の2型とそれぞれ一致した。このmitochondrial ALDH多型が血中酢酸濃度に影響を及ぼしたことから、Wistar系ラットのアルコール嗜好性に対して血中酢酸濃度の及ぼす影響は無視できないことが示唆された。現在、ALDH遺伝子の変異点を検索中であり、遺伝子多型診断によって2群に分け嗜好性との関係を検討している。
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