肺胞細胞におけるステロイドホルモンによる水チャンネル(AQP-3)の誘導を解明することを目的として研究を行った.ヒト肺胞細胞株(A549Cells)を継代培養し、confluentになったところでdexamethasoneを加え培養した。その後RNAを抽出し、AQP-3のcDNAをprobeに用いてNorthernblotを行った。Dexamethasoneは、10^<-9>から10^<-6>Mの範囲で濃度依存的にAQP-3の発現をup-regulateし、Time courseの実験によりAQP-3の発現はdexamethasoneの刺激後約8時間後にピークを示した。また、転写阻害薬(actinomycinD)によりAQP-3の発現は抑制され、翻訳阻害薬(cycloheximide)によりむしろsuper-induceされることがら、AQP-3はdexamethasoneのprimary response geneであることが示唆された.水の移動(volume flow)については、当初A549 cellsをculture dish内に組み込んだtrans-well上で培養し、trans-well内外で2-4倍の浸透圧差をつけた上でtrans-wellの上層には^<14>C-inulinを加え、濃縮により経時的なradioactivityの上昇を測定することによりvolume flowの指標とすることを検討したが、細胞が完全にtightにならなかったことから指標として用いず、代わりにstopped-flow light-scatteringmethodによる細胞レベルでの水透過性について検討した。これまでの予備実験により、dexamethasone(10^<-7>M)によりA549 cellsの水透過性は1.5-2倍上昇することが示された。
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