間質性肺疾患と対象とした検討では、これまでの健常人における検討結果を発展させて、サルコイドーシス患者を対象とした検討を行い、健常人と同様に抗炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)-4が肺胞マクロファージの炎症性サイトカイン産生を抑制するという結果を得た。 呼吸器疾患の病態に関与する他のマクロファージとして、胸腔マクロファージのサイトカイン産生機構に関する検討を行った。胸腔マクロファージが炎症性サイトカインであるIL-1を産生すると共にその拮抗物質であるIL-1レセプターアンタゴニスト(IL-1ra)の産生細胞でもあることを初めて明らかにした。また胸水中のIL-1raレベルが、結核性胸水では肺癌に伴う癌性胸水よい有意に高いことを示し、病態との関連性を明らかにした。 肺癌患者を対象とした炎症性サイトカインに関する検討では、肺癌患者血清中にIL-6が検出されること、またIL-6が血清中に検出された患者では検出されなかった患者に比し、血中フィブリノーゲンおよびC-reactive protein (CRP)が高値を、アルブミンが低値を示すことを示した。これは悪液質などのうわゆる腫瘍随伴症候群の病態と炎症性サイトカインとの関連を癌患者において明らかにするものである。さらにこれらの是正により癌に伴う種々の症状の改善が期待されることから、臨床的に症状緩和に用いられることの多いステロイド剤投与による炎症性サイトカイン動態の検討を行い、ステロイド剤投与により肺癌患者の症状が改善すると共に、血清IL-6レベルの低下が見られることを明らかにした。
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