【目的】γδT細胞レセプターを発現しているγδT細胞はRAなどの自己免疫疾患や、MS患者で増加しており、病因との関連が示唆されている。今回、我々はMS患者の末梢血におけるIL-2反応性γδT細胞について健常者と比較検討し、またMBP反応性T細胞株(MBP株)に対する末梢血γδT細胞の反応性の有無について検討した。【対象】MS患者12例(平均年齢31.0±5.83)と健常対照7例(平均年齢33.58±11.3)。【方法】末梢血より単核球を分離、IL-2(100U/ml)を含む培養液で短期培養を行い、γδT細胞%(TCRδ-1^+CD3^+細胞のCD3^+細胞に対する割合)をフローサイトメトリーを用い検討した。またMS患者の末梢血単核球から確立したMBP株8株におけるγδT細胞%を検討した。つぎにMBP特異的T細胞に対する末梢血中γδT細胞の反応性の有無をみるため非刺激時および活性化MBP株と末梢単核球の混合培養を行った。【結果と考察】1.IL-2に反応するγδT細胞%について、健常対照群は培養前は6.63±2.50%、培養7日目は10.43±2.64%、MS患者群はそれぞれ7.54±3.46%、18.21±3.46%で有意差は認められなかったがMS患者群でγδT細胞%が高値を示す例が認められた。2.末梢血単核球から短期培養法で確立したをMBP株におけるγδT細胞%を検討した。γδT細胞%は1.4%〜77%とMBP株によってかなり異なり、高値を示すものは培養維持が困難であった。3.また末梢血単核球をMBP株とともに培養を行ったところ、活性化MBP反応性T細胞を刺激原としたとき、γδT細胞%とγδT細胞のIL-2R α chain発現の増加がみられた。以上から、これらのγδT細胞は抗原特異的T細胞に対し反応性を有する可能性があり、MSの病態に関与している可能性が示唆された。
|