1.モルモット単一心房筋細胞でinside-out patch clampを行い、細胞外膜側のアセチルコリンの濃度を一定にして細胞内膜側のGTP濃度を変化させ、活性化Gタンパク量を変えた時のムスカリン性カリウム(K_<ACh>)チャネルのPatch電流を記録した。 2.K_<ACh>チャネルのKineticsはClose(2)【double arrow】Close(1)【double arrow】Openの速いgatingとUnavailable【double arrow】Availableの遅いtransitionの2つの独立したtransitionからなると考えられた。 3.各GTP濃度のデータに対し高速フーリエ変換を行いパワースペクトラムを加算平均しLorentzian curveでfittingを行った。Powerspectrumは2つのLorentzian curveの和でfittingできた。GTP濃度を変化させても2つのcorner frequencyに有意な変化はなかった。 4.Close(2)【double arrow】Close(1)【double arrow】Openの速いgatingの各rate constantはGTP濃度を変えても有意な変化はないが、一方Unavailable【double arrow】Availableの遅いtransitionのrate constantはGTPの濃度を上げると有意に変化した。細胞内GTP濃度とK_<ACh>チャネル活性の濃度活性曲線のHill係数は2.6で正の協同性が認められた。 5.Monodらのアロステリック理論モデルを用い濃度活性曲線のfittingを行ない、チャネルサブユニットの数が4個以上の時に良好にfittingできた。 6.以上よりClose(2)【double arrow】Close(1)【double arrow】Openの間の反応は細胞内GTP濃度とは独立しており、GTPはUnavailable【double arrow】Availableの間の反応の平衡を変化させることにより開口確率を上昇させると考えられた。GタンパクによるK_<ACh>チャネルの活性化過程はアロステリック理論モデルでうまく説明できた。
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