研究概要 |
雄性SDラット9週令を対象とし、腹腔内麻酔後、心臓を摘出し、逆行性大動脈潅流(Langendorff法)を行なった。20分間の好気的潅流後に30分間、全虚血とし、その後の15分、30分、60分、90分、180分間再潅流をおこない、各時点での心臓を液体窒素にて凍結保存した。得られた心筋組織をchomczynske and Sacchiの方法にてtotal RNAを抽出し、1.5%アガロースゲルに泳動後、ナイロンメンブレン(Zeta-probe;Bio-Rad,Richmond,CA)にトランスファーし、^<32>PラベルのウサギVLDL受容体、およびウサギLDL受容体cDNAフラグメントをプローブとしてクロスハイブリダイゼーションを行ってmRNAレベルでのリポ蛋白受容体に及ぼす虚血時、および再潅流時の動態を検討した。 心室筋のVLDL受容体のmRNAは好気的潅流時に比し、30分間の全虚血により明らかに増加した(約3倍)。このmRNAの増加は再潅流180分まで持続していた。一方、LDL受容体のmRNAは虚血、再潅流を通じて検出されなかった。 続いて、心筋の虚血時間を5分、10分、20分、30分間と変化させて虚血時間での心室筋のVLDL受容体のmRNAを測定した。 心室筋のVLDL受容体のmRNAは虚血時間が長くなるとともに増加した。 以上の結果より、心筋虚血により心筋VLDL受容体が増加し、再潅流後もその増加は再潅流後180分後まで持続しており、心筋の虚血、再潅流時にVLDL受容体の関与が示唆された。一方、LDL受容体は変化がなく、その関与は少ないと考えられた。今後、局所心筋虚血モデルにて同様の検討を行う予定である。
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