心筋内コラーゲンの変性は、心機能に重大な影響を及ぼすと考えられている。本研究は心筋再構築におけるコラーゲン変性の機序の解明を行うために、心筋症、心筋梗塞の動物モデルと正常心筋および心筋培養細胞を用いて研究を行った。 (1)心筋症ハムスター(Bio14.6およびBio53.58)を用いた動物実験を行った。Zymographyによるコラゲナーゼの活性の検討では、約65kDaと70kDaのバンドを認め、これらは心筋症ハムスターにおいて亢進していた。これらは、心筋症における心筋再構築にMMPが関与することを示唆する。 (2)心筋梗塞(ラット左冠動脈結紮)モデルにおけるZymographyを用いた検討では、約92kDaのバンドの出現を心筋梗塞後24時間をピークに認めた。さらにコラゲナーゼ活性も同様の時間経過にて上昇していた。心筋梗塞早期における心室破裂などにこのコラゲナーゼ活性の増加が関与している可能性が示されている。('95AHAにて報告) (3)加齢に伴う心筋内MMP(Matrix Metalloproteinase)の検討では、加齢に伴い心筋内コラーゲン含有量は増加するが、MMP活性には変化がないことが確認されている。('95心筋代謝研究会にて報告) 新生児ラット心筋より、線維芽細胞を単離し各種サイトカインのMMPに対する検討を行っているが、TGF-β及びATIIによりMMP1およびMMP7のmRNAの増加を認めている。以上の成績を基に現在、圧負荷肥大心及び心筋梗塞モデルにおける心臓より、線維芽細胞を単離し、各種病態における心筋線維芽細胞のサイトカインに対する反応の差異を検討しているところである。
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