〔目的〕本研究では、1、ウサギ心筋小胞体カルセクエストリン(CS)遺伝子を単離することである。そしてエクソン・イントロン構造を明らかにし白筋小胞体CS遺伝子と比較する。2、CS遺伝子5'上流の塩基配列の解析:制限地図とシークエンスによって5'領域について詳細に解析する。転写開始点を明かにしコンピューター解析によりプロモーターとシス作用エレメントの解析を行い白筋小胞体CS遺伝子と比較する。最終の目標は心臓特異的な核蛋白因子をクローニングし特性を明らかにすることである。〔方法〕ウサギ骨格筋のアミノ酸配列はcDNA配列より決定され遺伝子の構造も明かにされ、またイヌとウサギの心筋CSに対してのcDNAクローニングが報告されていることから我々は、ウサギ心筋CScDNAの翻訳領域と非翻訳領域を含むcDNA制限酵素断片をP^<32>でラベルしプローブとしてλファージウサギ遺伝子ライブラリーをスクリーニングした。次に制限地図とサザンブロッティングにより解析し遺伝子内のexonの分布を決定し、更にsubcloningしたDNA断片の塩基配列を決定し、exon・intoron境界を明らかにし、ウサギ心筋CS遺伝子であるも確認した。〔結果〕1、遺伝子ライブラリーをスクリーニングした結果、6個の異なるクローンを得た。その中で3個は遺伝子内のexonの分布を決定した。一方、他の3個のクローンについてはプライマーを用いてexon・intoron境界を明らかにした。2、単離された6個の相異なるゲノムDNAクローンがウサギ心筋CS遺伝子であることを確定することができた。3、心筋CS遺伝子のexonの分布は白筋CS遺伝子のexonの分布に近似していた。またexon2から10の大きさは白筋CS遺伝子と同じ大きさであった。〔総括〕心筋CS遺伝子のexonの分布及大きさは、白筋CS遺伝子と近似していた。今後この遺伝子のプロモーター領域と5'調節領域を詳細に分析し更には心筋において特異的に発現を支配する遺伝子をクローニングし基礎的に詳細に分析すれば心筋における遺伝子発現を支配する分子メカニズムの理解に役立つと思われ、将来の臨床応用への道が開かれる。
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