研究概要 |
1.コラーゲン分解酵素によりモルモット単離心室筋細胞を作成、whole-cell patch clamp法により膜電流を記録した。まずセシウム、テトラエチルアンモニウムによりカリウム電流をブロックし、1-100μMのcAMPまたはcGMPをピペット内に灌流した。カルシウム電流は3.0μA/cm^2よりそれぞれ濃度依存性に増加しcAMP100μM存在下15.9μA/cm^2、cGMP100μM存在下6.4μA/cm^2で、増加率はcAMPの方が大きかった。またカルシウム電流の不活性化曲線は、cGMPの方が22mV左方に移動していた。細胞外液にカドミウムを加えて得たクロライド電流はcAMP100μMで0.26μA/cm^2、cGMP100μMで0.50μA/cm^2とcGMPの方が大きかった。 2.以上の結果は、細胞外液をTyrode液、ピペット内をカリウム主体の生理的溶液とし、カルシウム電流ピークと末尾電流(クロライド電流に近似)を測定しても同様であった。同時測定した細胞長の、収縮期と拡張期の差はコントロール5.4μmに対しcAMP100μMで320%増加、cGMP100μMで32%増加した。 3.次にイソブチルメチルサンチン(IBMX)と、パパベリンの効果を検討した。IBMX100μMは、カルシウム電流を250%、収縮を320%増加させるのに対し、パパベリンは増減一定せずわずかな温度上昇により減少率が大きくなった。30℃では、パパベリン100μMは、カルシウム電流を10%減少、クロライド電流は220%増加、収縮は、細胞内への通電、フィールド刺激のいずれでも減少した。 4.カルシウム電流とクロライド電流は、いずれもcAMP,cGMPにより増加するが、感受性は異なっていた。細胞収縮の増減は、カルシウム電流ピーク値と不活性化の進行の程度と一致し、クロライド電流の増加は、収縮を減少させる方向へ修飾する可能性のあることがわかった。
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