骨髄中の微少残存腫瘍は、予後との関連や自家骨髄移植後の再発との関連等、臨床的に重要な問題を持っていると考えられる。簡便な方法で微少残存腫瘍の検索ができれば、臨床面への貢献は多大であると考えられる。そこで、染色体分析やreverse transcriptase (RT)-PCR法に比べてより簡便に行えるfluorescence in situ hybridization (FISH)法を用いる微少残存腫瘍の探索について検討した。これまで、t (9;22)のBCR/ABL、t (1;19)のE2A/PBX 1の遺伝子異常を持つ小児白血病の骨髄中の微少残存腫瘍の検索に関してFISH法が有用であることは既に確認していた。 平成7年度はt (8;21)のAML 1/ETG 8、t (15;17)のPML/RARAの遺伝子異常を持つ小児白血病や骨髄異形成症候群で7モノソミ-や7番染色体長腕の欠失の異常を持つものについて微少残存腫瘍の検索を行い、染色体分析より簡便に行えることを確認した。即ち、一部の症例では寛解導入直後にはFISH法では微少残存腫瘍が認められた。予後との相関に関しては症例数と経過観察の期間の問題よりまだ十分解析し得ていない。 神経芽腫に関しては1番染色体短腕、14番染色体長腕についてYACプローブを作成した。1番染色体短腕について検討した自家骨髄移植症例では移植後には微少残存腫瘍はみられていない。今後症例数を蓄積して予後との関係を検討する予定である。
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